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SELENE
 

セレーネの特徴はなんといっても、これまで時計業界では実現したことのない写真のようにリアルな月のイメージです。これは従来のムーンフェイズ・ディスプレイとはまさに一線を画す特徴でもあります。それ以外にも、この時計は3世代にわたって正確に動き続けることもあげられます。122年半ぜんまいが巻き続けられるかぎり、ムーンフェイズ・ディスプレイは1日しかずれることはありません。

従来のムーンフェイズ・ディスプレイの設定は一般的に緩やかです。つまりディスクは少しずつ動いていき、必ずしも正確とは限りません。しかし、セレーネではそういうことはありません。セレーネの設定は8時方向のケースバンドに設置されたコレクタープッシャーにより行ないます。コレクタープッシャーは、ダイアル上の大きな月の覆い隠すディスクが、優しく、均等に動く、というよりむしろ回転するのを保証するものです。

つまり、ムーンフェイズ・ディスプレイは正確に設定できるということを意味しています。

たとえば、もし満月が午後10時05分に起こるとしたら、コレクタープッシャーを介してきっかり午後10時05分に ディスクを動かすことができます。これにより、月は欠けることがなく、月全体を見ることができます。

セレーネはこれを可能にした世界初で唯一の時計です。もちろん日付表示なしのムーンフェイズ・ディスプレイはほとんど役に立ちませんから、日付表示もダイアルの外を縁取るリングの形で、控えめに付け加えられています。必要なとき以外、ほとんど気づかないほどですが、いざというときには先端を赤く塗った針の助けを借りて、すばやく、容易に日付を読むこともできます。マーティン・ブラウンがこのタイプの日付表示を組み入れることにしたのは、かなり大きく、かろうじて9時位置でカッタウェイが見える程度であるムーンフェイズ・ディスプレイが、ダイアルの下のスペースの大半を占めているためです。

ダイアル・バリエーション

Selene B
セレーネBにはブラックダイアルが使われ、その“表情”も針も実に力強く、印象深くなっています。針はマーティン・ブラウンのロゴとは逆の太陽光線で構成されています。

Selene S
セレーネSは、マーティン・ブラウンの最初のコンプリケーション、イオスの有名な“顔”を元にしています。セレーネでは、太陽光線の組ひも模様が、6時方向にあるイオスとは異なり、9時方向の月の裏側から出ています。このダイアルが真のクラシックらしさをかもし出し、セレーネに銀色の月明かりの輝く控えめでエレガントな趣を与えています。

Selene Meteorite
本物のメテオライトのほかに、ムーンフェイズにふさわしいものがあるでしょうか。ベッカー・ウイドマンシュテッテン(1754-1849)にちなんで名付けられたいわゆる“ウイドマンシュテッテン”構造が見られるのは、このメテオライトしかありません。こうしたメテオライトはアフリカ、特にナミビア地域でしか産出されていません。
メテオライトは宇宙を何千年も旅してきた物質で、石化していることで、その素材にユニークな構造を生み出しています。鉄、ニッケル、カマサイト(ニッケルを少しだけ含んだ鉄の合金)とテーナイト(ニッケルをたくさん含んだ鉄の合金)、およびその他の鉱物からできていて、宇宙のさまざまな条件により、このユニークなメテオライトディスクが生み出されたのです。メテオライト製ダイアルの表面構造が一つずつ異なるのはこのためです。

「セレーネのアイデアが浮かんだのはもうずいぶん前になる」と、マーティン・ブラウンは回想しています。「私の天文的コンプリケーションにムーンフェイズがなかったこと、そして、今日市場に出回っているムーンフェイズモデルに、一定のオリジナリティが足りないと感じていたことがその理由だ。また、既存のデザインには、そのシステムに大きな欠陥があることも事実だ。その欠陥は新月にある。実際には、月は空にいつでも浮かんでいるんだ。地球からの光がどれほどわずかだとしてもね」

「だから、私は空に浮かんでいるそのままの月の様子を示すムーンフェイズを持つ時計を作りたかった」

 この現実的なムーン・ディスプレイを作るために、マーティン・ブラウンと彼のチームは様々な取り組みを行ないました。ダイアルという限られた範囲の中で、永遠に写真のようにリアルな月を小さなガラス上に再現するまでには、何か月もの研究と開発の日々を要したのです。そしてついに、このハイクオリティー性を達成するために、600dpi足らずのイメージを一つずつ小さなガラスに印刷していきました。2枚の暗いサークルを含むディスクがこの透明な月の下で回転し、月の満ち欠けを表示します。
このようにして、月の影がはっきりと見えるようになり、新月のときにも、そこに月があることがわかるようになったのです。

このデザインは、まったく新しいものであり、従来のディスプレイに使われていた2つの半円形のカッタウェイに取って変わるものとなりました。

 

月の直径は3476キロ、地球の4分の1です。
地球に最も近いときの距離は363,200キロで、この地点を近地点といいます。
地球に最も遠い時の距離は405,000キロで、遠地点と呼ばれています。
質量は7,349 ×10の22乗 kg。ちなみに地球の質量は5,974 × 10の24乗kg です。
赤道面の重力は1,62 m/s2。ちなみに地球は9,807 m/s2です。従って、物質の重さは地球上の6分の1になります。

満月から満月までの期間は、29日と12時間44分2.9秒。
この44分2.9秒の違いにより、通常のムーンフェイズ・インジケーターは一定の時間が経つと、ずれが生じてきます。
しかし、特別製で、見事に計算されたギアを使用しているセレーネは、このずれを122年半の正確さまで修正しています。